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エチル

『そこに無い家に呼ばれる』読了


著:三津田信三

前作『わざと忌み家を建てて棲む』の読後感を失わないうちに読んでしまおうと思い、昨年12月に読了した。
読んでよかった……。

以下にネタバレ感想。



全体的な感想

幽霊屋敷シリーズ最終作とされ、非常に楽しめた。

主人公・三津田信三の知人、三間坂の実家にある魔物蔵から発見された3つの記録。それを読み、「家の幽霊」なるものに思索を巡らせる本作。

怪談小説としての王道が『どこに家にも怖いものはいる』であれば、本作は大いにメタフィクションホラーに振った、どちらかといえば邪道の作風ではないか。あくまで個人の感想です。

終盤、『絨毯の下絵』を例に「作家による壮大な実験」の可能性を提示し、三津田信三のホラーをより恐ろしいものに仕立てた。
先生の作品を読むことが障りになるような、読者の日常に侵食していく怪奇体験。ある意味で恐ろしい読後感を与えた本作はとても好みの味付けだった。

全体を通しては、さりげない伏線の散りばめ方と終盤の解説が読んでいて楽しかった。


個人的に刺さったところ


・「増える」「減る」という、日常のなかではあり得る現象を怪奇に昇華するアイデアが素晴らしい。記録として提示される文書群はどこかSCPじみていて、近年のホラーブーム傾向を意識しているようにも感じられる。作家としてさまざまな表現にチャレンジしているのでは。素敵です。

・終盤の一文字ずつ減っていく文章、大好き。美しい。

・箱庭療法をはじめて知った。こんな治療法が実在することにまず驚く。私もいつかモチーフとして使ってみたい気持ちが湧いた。自分で箱庭を作る。それだけでTRPGシナリオのフックになりすぎる。

・個人的にはやはり、三津田信三の作品が読者を被検体とする「実験」であるという要素が気持ちよかった。まさしく第四の壁を突破してこちら側を巻き込むメタフィクションであり、メタフィク好きならゾクゾクすることだろう。


先生の未読作品や、過去に読了して時間の経った作品ももっと読んでいきたい。

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PROFILE

黒柄エチル(Chloe-Ethyl)

絵をかいたり、デザインしたり、TRPGのシナリオをかいたりしています。
ここは備忘録壁打ちサイトとして運用しています。

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